キックボクシングをやっている皆さん、スパーリングはやってますか?
試合は目指していなからいらない?効果的な取り組み方がわからない?
効果的にやればスパーリングは楽しいし、良いトレーニングになるので、ぜひ取り組んでみてください!
※あくまで当道場でのキックボクシングクラスの考え方です
スパーリングは大事です!
エクササイズとしてキックボクシングを楽しまれる方も増えてきました。昔と比べると、格闘技の楽しみ方の幅がずいぶん広がってきたのはとても良い傾向だな、と嬉しく思う今日この頃です。
しかし、競技として考えると、キックボクシングはコンタクトスポーツ(競技者間で接触があるスポーツ)であり、それもフルコンタクトです。そもそも相手に接触しなければ何も始まらないスポーツですから、試合に出る出ないは別として、キックボクシングをやるからにはスパーリング(実戦形式のトレーニング)を想定することになります。
ところで、格闘技は目の前の人間に対峙することを想定した技術体系ですが、こちらが攻撃すれば相手は防御してくるし相手もこちらに対して攻撃してくるという、当然のことを不思議と忘れがちです。
つまり、技術の形だけを身につけても、実際に人間に対して実践してみないと上手くいくかどうかわかりません。
また、実際に攻撃を受けてみないと、ダメージがどのように自分の体に影響を及ぼすのかもわからないですし、ダメージへの対処方法についても経験を積む必要があります。映画のアクションシーンではダメージを受けてもなんだかんだ動いていますが、実際には動けなくなり攻撃力もガタ落ちします。
スパーリングトレーニングを積まずに試合に出るということは、例えるなら、合理的に走るためのフォームの研究だけして実際に走る訓練をせずにマラソンに挑戦するようなものです。
そんなわけで、特に試合を目指している方にとってはスパーリングは絶対必要ですし、試合を目指していない方でもスパーリング・トレーニングを通して格闘技の本質に触れてみることをオススメします。
スパーリングは大事です!が…リスクもあります
前述の通り、スパーリングトレーニングをせずに試合に出場することは、ほとんど無謀と言っていいと思います。
では、パーリングはとにかく沢山すればいいのかと聞かれれば、私はそんなこともない派です。
スパーリングは必要条件ですが十分条件ではない、というのが私の流儀ですね。
また、練習とはいえ殴り合うので、当然ですが、スパーリングにはある程度のリスクが伴います。
リスクその1 ケガ
一番のリスクは怪我、とりわけ頭部へのダメージが気になります。目に見えるような傷がなくても、たとえ一つ一つのパンチ(キック)にそこまでダメージを受けた自覚がなくても、その蓄積は無視できません。
空我道場では、会員の方々に、アマチュアスポーツとして格闘技を楽しんでもらうことに主眼を置いてますので、怪我のリスクに対しては慎重に考えています。
リスクその2 そのスパーリング意味がありますか?
二つ目は、これはリスクとは言えないかもしれませんが、スパーリングで何をしたらいいのかわからないという点です。
しかし、最低限のキックボクシングの技術が身に付いてない状態でいきなりスパーリングをすると、どう相手に対処して良いのかわからないまま一方的に攻撃を受けてしまったり、逆に半ばパニックになってしまいむやみに力が入って攻撃的になりすぎたりすることが多いです。
しかも、スパーリング中に何ができていたか、今後はどう改善していくべきか、という肝心な点が掴めないまま終わってしまう可能性が高いです。
頭が真っ白になってしまう経験をしておくことにも意味はあるともいえるのですが、そういったスパーリングを繰り返すことは危険を伴いますし、スパーリングの相手をする側にとってもストレスが溜まる場合が多々あります。
ということで、あまり技術が身に付いていない早い段階でスパーリングのは、怪我や競技そのものに対して恐怖心を抱くことにつながりかねないので、ほとんどの場合おすすめできません。
スパーリングをする前に
スパーリングの前段階として、まずは基本的なパンチやキックのフォームの習得、そして何よりディフェンスの動きが直観的にできるようになるまで繰り返すことが大事だと考えています。
空我道場では、二人一組で基本のドリルを繰り返していくことで、基本的な攻撃パターンとそれに対するディフェンスのパターンを習得していきます。
また、二人ペアになり、向かい合ってシャドートレーニングを行うのもとても良い方法だと思います。初心者が身体に攻撃を受けると慣れていないうちはショックを受けたり、興奮状態に陥ったりしやすいですが、お互いに攻撃を当てない前提であれば、自分や相手の動きに落ち着いて対処しやすくなると思います。
この対面のシャドートレーニングは、中級者以上のウォーミングアップとしても有効かと思います。
安全で効果的なスパーリングをするために
スパーリングにはいくつか分類があります。
コンタクトの度合いが強いものから順に、本気で行う”フルスパーリング”、軽めに当てる”ライトスパーリング”、当てる寸前に止める”マススパーリング”と言います。
ところが、スパーリングをやっているうちに、マスのはすがライトになり、ライトのはずがいつの間にかフルになっている、ということは、スパーリングあるあるです。ですので、必ず、指導者などストップする権限のある方の立ち合いの元で行うようにしましょう。
また、特にキックボクシング界隈では、ライトスパーリングとマススパーリングがあいまいに使われている場合があるので、スパーリングの内容をお互いにきちんと確認することが関係を悪くしないためにもとても大事だと思います。
お互いの意思疎通ができている中でスパーリングをやることは何よりのトレーニングになりますし、スパーリングを重ねて基本に立ち返り、課題を克服し、またスパーリングで検証する、というのが上達のためのPDCAサイクルだと思いますので、皆さんは気持ちの良いスパーリングを楽しんでくださいね。
空我道場では、その他にも危険度の低い対人練習を取り入れて、段階を踏んでスパーリングを行なえるように工夫をしています。
怖いけど興味はあるという方もお声掛けくださいね。
スパーリングのその先
スパーリングを積んで自信が出てきたら試合に出るということも視野に入れるのはどうでしょう?
最初に言ったように格闘技への取り組み方は人それぞれですが、”強くなる”というのが目的なら、慣れない場所で初めて会う相手と試合をすることは、とても大きな経験となります。
試合に出ることを決めることで、普段の練習にもよりいっそう身が入るという効果もあります。
空我の練習試合
とはいえ、いきなり試合に出場するのは気持ち的にハードルが高いと考える方もおられるでしょうし、試合への出場費などを負担に感じる方もおられるでしょう。
ということで、空我道場では、月に1度を目安に会員さん同士で練習試合をしてもらうという企画を試行中です。会員の皆さんにとってよい目標や経験の場になるような機会になるようにしてまいりたいと思います。