皆さんは、「カラテコンバット」という格闘技団体の名前を聞いたことがありますか?
知れば知るほど興味がそそられる、個人的にこれからイチオシの新興の格闘技です。
カラテコンバットの特徴1:ルール
カラテコンバットの大きな特徴は、ルールと戦う場所にあります。
まずは、ルール。
フルコンタクト(直接打撃でノックアウト方式)の伝統空手と言えば、イメージが湧く方もいるかもしれませんが、もう少し詳しく説明しましょう。
カラテコンバットのルールはパンチ・キックの打撃技、投げ技、そして片方がグランド状態になった状態でパンチの攻撃が認められているのが特徴です。
細かく見ていくと、投げは有効ですが、スープレックスのように相手を高く持ち上げて叩きつける投げは反則となるようです。この辺はファジーな感じですね。
そして投げた後も、倒れた相手を抑え込んでの攻撃、倒れた相手へのキックは禁止。
パウンドはありですが関節技及び抑え込みは禁止、ということで寝技は完全に排除しています。
カラテコンバットの特徴2:フィールド
もう一つのおもしろい特徴が、戦うフィールドです。
キックボクシングや総合格闘技で見るようなリングやケージではなく、マットの周りに壁が張り巡らされています。
しかも、その壁には傾斜があるので歩いたり走ったりすることができます。
さらに、壁に背中がついてもグランド状態とならず、パンチやキックの攻撃を継続することができます。
この傾斜がある壁付近での攻防が、他の格闘技と最も異なる点であり、おもしろい部分でもあると思います。
実際の試合でも、壁を使うことで今までの格闘技にはなかったシチュエーションが生まれており、観戦していても新鮮に感じます。
一言でカラテコンバットを説明すると、
「これまでなかったフィールドで地形効果を活かしながらノックアウトするまで戦うフルコンタクトの伝統空手ルール」
という感じになるでしょう。
空手とカラテコンバット
カラテコンバットの名の通り、出場している選手は空手家、特に伝統空手出身の選手が多く、選手プロフィールには出身流派が記載されています。とりわけ、松濤館空手をバックボーンとしている選手が多いイメージですね。
ただ、最近はキックボクシングやムエタイ、MMAの選手が出場することもあり、プロフィール欄には「カラテスタイル:ムエタイ」とか、なんだかよくわからないことが書いてあったりします。
空手と聞くと、長い歴史と厳しい伝統のイメージする方もいるかもしれませんが、実は剣道などと比べるとそこまで長い歴史や伝統があるわけではありません。
むしろ、その土地ごとの文化と混ざり合いながら世界中に広がり、「カラテ」の名のもとに各地で様々な進化や変化を遂げていったことが空手の特徴と言えるかもしれません。
その世界各地の「カラテ」が、カラテコンバットによる共通のルールでプロリーグを戦うというのは、おもしろいコンセプトだし、夢があるなぁと思います。
空手とカラテコンバットとマネーのこと
で、このカラテコンバット、実はめちゃくちゃファイトマネーがいいという話を聞きました。
武道家にとってお金を稼ぐことを、どう考えるかはなかなか難しい問題です。
今のところ空手のプロの試合は一般的には認知されているとは言えません。
私のように空手を教えている人はそれなりに多くても、競技者という意味においては、イベントなどで空手を披露するといった活動以外で活躍の場がほとんどないと言うのが現状です。
確かに最近では、賞金が出る大会など国内外で様々な試みがされており、何をもって「プロ」と呼ぶかについては議論が必要かもしれませんが、プロの空手選手と聞いて具体的なイメージが湧く人は少ないと思います。
そんなわけで、空手を稽古している人がプロの格闘家として生活していこうとすると、ボクシングやキックボクシング、総合格闘技といった空手以外の格闘技の世界に舞台を移さなければなりません。
確かに、極真空手をバックボーンとしてボクシングやキックボクシングで活躍している那須川天心選手、松濤館空手をバックボーンに総合格闘技で活躍している堀口恭二選手などなど、空手を活かしながら他競技で能力を発揮している格闘家はたくさんいます。
でも、もしも、空手家が空手の強さや魅力をそのまま発揮できる舞台としてのカラテコンバット!…という感じなって、世界各地のカラテが一堂に会して戦うことになれば、断然おもしろそうです。
これは極端な例えになりますが、Netflixの人気ドラマ「コブラ会」でのミヤギ道空手とコブラ会空手のように、同じカラテでも目指すものが変わればスタイルも変わりますからね。
スタイルが違うカラテ同士が、自分の強みは生かし、相手の弱みをついて、どう戦うのか興味津々です。
さらに、こうしたカラテコンバットのコンセプトがより認知され、定着していけば、格闘技における空手の地位もさらに高まるかもしれません。
ちなみに、カラテコンバットの選手では、極真空手の宮原穣選手が2戦2勝と活躍していますが、これに続く日本人選手にも期待したいです。
カラテコンバットを見るべきか
実際にカラテコンバットの試合を見ていると、選手によってはカラテコンバットルールでの試合レベルがそこまで高くなかったり、レフェリーがルールをしっかり理解していないような場面もありました。
新興の競技ということもあり、まだ洗練されていない印象があるのは否めません。
しかし、新しい格闘技として今後の可能性を感じますし、フィールドの目新しさだけでなく、試合運営に関しても観客や視聴者もイベントに参加できる工夫など、これまであまり聞いたことがない取り組みもたくさん実施していて、注目に値する競技だと思います。
独特のフィールドでの攻防やカラテの未来(?)を見てみたい方には、特にオススメです。
観客や視聴者によるイベント参加の仕組みは大変おもしろい内容なので、また改めてご紹介したいと思います。
この記事に出てきた団体など
カラテコンバットのHPは日本語版はなく、英語・ポルトガル語・スペイン語のみになりますが、試合はFaceBookやYouTubeで見ることができますよ。
・カラテコンバットのHP:クリックすると、カラテコンバット公式サイトのトップページに飛びます
・オンラインでの試合観戦(無料):クリックすると、カラテコンバット公式サイトのリンク集に飛びます